アニアニアウ

ʻAnianiau (Magumma parva)

アニアニアウ(Magumma parva) アニアニアウ(Magumma parva) アニアニアウ(Magumma parva) アニアニアウ(Magumma parva)

カウアイ島に生息する、小型の可愛らしいハワイミツスイ。

日本語名
ハワイ語名 ʻAnianiau
英語名
学名 Magumma parva
分類 アトリ科(Fringillidae)
その他 カウアイ島固有種(endemic)

分布

E

カウアイ島固有種。標高900m以上の在来植物の森にすむ。コーケエ州立公園(Kōkeʻe State Park)やアラカイ高原(Alakaʻi Plateau)で見ることができるが、この記事を書いている2012年の時点では、ほんの数年前と比べても、アニアニアウに出会う機会はどんどん少なくなっているように感じる。2005年に出版された専門書に、生息数は安定していると記されているので、少なくとも2005年以降の数年間で一気に減少していることになる。

形態

全長10cm。ハワイミツスイ類ではもっとも小型の種で、Lesser ʻAmakihi(小さなアマキヒ)と呼ばれることもある。オスの方がやや大きい。

オスとメスは体の色が異なる。オスは全身がテニスボールのように鮮やかな黄色で、翼はやや暗い色。メスはややくすんだ黄緑色。実際に森のなかでは、派手なオスは一目見ただけでアニアニアウだとわかる場合が多いが、メスの場合は他のハワイミツスイ類と識別するためにやや時間を要するかもしれない。

アマキヒやアケケエ(カウアイ・アーケパ)など、カウアイ島に生息する他の黄緑系のハワイミツスイと違って、本種は目先が黒くない。くちばしは茶色っぽい明るい色。わずかに下にカーブした細くて短いくちばしは、オーヘロ、カナワオ、ナウパカ・クアヒヴィなどの花で食餌するのに適している。下くちばしの根元はピンク色がかった明るい灰色。足は明るい色。

鳴き声

森のなかで本種を見つける手がかりは鳴き声である場合が多い。

さえずりは、「チュイチュイチュイチュイチュイチュイチュイ」という2~3音からなる澄んだ音のビブラート。筆者のバードウォッチングの師匠であるハワイ在住の野鳥写真家は、「(なかなかかからない)車のエンジンをかけるときの音」と形容して教えてくれた。

地鳴きは、音程が上がる2〜3音のスラーの「チュウィー」や「チュウィウィー」など。他に、アケケエの地鳴きに似た「スィー」や、アマキヒの地鳴きに似た「チィー」などもある。

生態

餌を探して木々を素早く飛び回る。花蜜、果実、虫などを食べる。オーヒア・レフアの花でもっとも多く食餌するが、外来種の花を訪れることもある【写真1】。

アニアニアウ
【写真1】オーヒア・レフアの花の蜜を吸いに来たアニアニアウ

1日のなかで同じコースを何度も回遊しているようである。ある花に蜜を吸いに来たのを目撃した場合、そこで待っているとほぼ必ず同じ鳥が再び同じ花にやってくる。単一種では最大12羽の群れが確認されている。また、アマキヒ、アケケエ、アキキキ(カウアイ・クリーパー)などの混群に参加して一緒に採餌することもある。

繁殖期は2〜6月。カップ型の巣を、オーヒア・レフアの木のこずえにつくることが多い。2~4個の卵を産み、メスが14〜18日間抱卵する。野生の状態での寿命ははっきりとわかっていないが、捕獲して育てられた個体で9年半生きた記録があるという。

名前の由来

名前の由来は不明。ニアニアウ(nianiau)には「まっすぐ」という意味があるそうで、カーブが少ないくちばしの形が名前の由来だという説もあったが、現在は否定されている。

アニアニアウの若い鳥は、以前アラウィー(alawī)と呼ばれていたという記録がある。カウアイ島では、アマキヒもアラウィー(alawī)、あるいはアラウィー・キヒ(alawī kihi)と呼ばれる。ちなみにアニアニアウの若い鳥は、アマキヒの若い鳥とそっくりで、特に混同されがちである。アラウィーには「甲高い」とか「金切り声を出す」などの意味があるが、関係があるのだろうか。よくわからない。

山奥に追いやられた鳥たち

Birds of Hawaii (Revised edition)(George C. Munro著、1960年)によると、1890年代には非常に多く(“extremely numerous”)のアニアニアウが、カウアイ島の森全体に生息していたらしい。海岸近くで本種の骨の半化石も見つかっている。ところが20世紀初頭には、標高が低い場所では姿を見せなくなったという。

アニアニアウも、他の多くのハワイミツスイ類と同じように、蚊が媒体する病気への耐性が弱いとされている。蚊はもともとハワイ諸島には生息していなかったが、19世紀の初めに外国船によってハワイに持ち込まれた。以来、アニアニアウを含めたほとんどのハワイミツスイ類は、蚊が住めない標高600m以上の冷涼な山奥に追いやられている。アニアニアウの生息域は、元々の生息域の15%にまで狭くなっているそうである。

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