エレパイオ(ハワイヒタキ)まとめ

ʻElepaio (Chasiempis sandwichensis)

エレパイオ(ハワイヒタキ)
左から、カウアイ・エレパイオ、オアフ・エレパイオ、ハワイ・エレパイオ

姿、仕草、鳴き声、すべてがとてもチャーミングなエレパイオは、ハワイ固有のヒタキのなかま。マヌオクー(シロアジサシ)とともに、筆者が最も好きな鳥のひとつである。

日本語名 ハワイヒタキ
ハワイ語名 ʻElepaio
英語名
学名 カウアイ・エレパイオ:Chasiempis sandwichensis sclateri
オアフ・エレパイオ:Chasiempis sandwichensis ibidis
ハワイ・エレパイオ:Chasiempis sandwichensis sandwichensis
分類 カササギヒタキ科(Monarchidae)ハワイヒタキ属(Chasiempis)
その他 ハワイ固有種(endemic)
オアフ・エレパイオは絶滅危惧種(endangered)

分布

E*

ハワイ固有種。カウアイ島、オアフ島、ハワイ島に分布する。それぞれの島の個体群は3つの亜種に分けられ、それぞれ生息する島の名前を冠してカウアイ・エレパイオオアフ・エレパイオハワイ・エレパイオと呼ばれる。

カウアイ島とハワイ島では、山地の森で普通に見られる。オアフ島では数が少なく、合衆国によって絶滅危惧種に指定されている【写真1】。

ハワイミツスイ類に代表される、森にすむハワイ在来の鳴禽類は、外来植物の森では生息できないものがほとんどで、それらの鳥たちは、今日のハワイではみんな山奥の在来植物の森に追いやられている。ところがエレパイオだけは例外で、環境の変化に対して順応性があり、おどろくほど標高が低い外来植物の森にも生息している場合もある。

オアフ・エレパイオ
【写真1】絶滅のおそれがある、オアフ島のエレパイオ

エレパイオの祖先

エレパイオは、ハワイにたどり着いて定着した唯一のヒタキ類である。エレパイオが属するカササギヒタキ科(Monarchidae)は、17属98種からなり、東南アジア、アフリカ、ニューギニアなどに分布する。

オーストラリアとメラネシアに分布するカササギビタキ属(Monarcha)が、エレパイオにもっとも近縁とされている。エレパイオの祖先は、ハワイミツスイ類の祖先よりも後に、オーストラリアやメラネシアなどの南西方面からハワイにやって来たと考えられている。

アキアポーラーアウ(カワリカマハシハワイミツスイ)

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マウイ島やモロカイ島にいない謎

オアフ島とハワイ島には生息するのに、その両島の間に浮かぶマウイ島、モロカイ島、ラーナイ島にエレパイオが生息していない理由はわかっていない。カウアイ島からオアフ島に渡ったエレパイオの先祖が、何らかの理由でマウイ、モロカイ、ラーナイの3島をスキップして一気にハワイ島に渡ったという説もあれば、以前はマウイ、モロカイ、ラーナイの3島にも生息していたが絶滅してしまったという説もある。

形態・生態

形態や生態は、それぞれの亜種のページに書いたので、そちらをご覧いただきたい。

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鳴き声

地鳴き(ハワイ・エレパイオ、2014年10月)

典型的なさえずりは大きな声の「チュウィーユゥ」(「ウィ」にアクセント)。エレパイオという名前はこの鳴き声のオノマトペであるらしい。この鳴き声は、「ʻono ka iʻa(魚は美味しい)」と聞こえるともいわれ、漁に出ないのに魚を欲しがる人のことを「エレパイオ」と呼ぶことがあるそうだ。

地鳴きは「チュップ、チュップ」、「フュッフュー」、音程が上がるスラーの「ピューイー」など。

オスもメスもさえずる。特に求愛期と巣作り時によく鳴き、抱卵中はあまり鳴かなくなる。そして雛が生まれるとふたたび鳴くようになり、巣立ち後はさらによく鳴くようになる。

カウアイ島とハワイ島の森では、早朝、最初に鳴き始める鳥がエレパイオである場合が多い。森にすむハワイ在来の野鳥のなかでは、日没後もっとも遅くまで鳴いている鳥でもある。

女神レアが変身した姿

ハワイの伝説では、エレパイオはカヌー作りの女神レア(Lea)が変身した姿とされている。そのため、エレパイオもレア同様、カヌーを作る人々の信仰の対象であったという。

カヌーが人々の海の交通手段だった時代、森に入ってカヌーに適したコアの木を見つけると、人々は必ず神に祈りを捧げ、神の許しをもらってから切り倒したという。そして、切り倒された木にエレパイオがやってきて、そこで鳴けば吉兆とされた。もし、エレパイオが木をつつきはじめたら、その木は虫に食われていてよくないとされ、その木を使うことはなかったという。

フレンドリーでチャーミングな、森の人気者

ハワイ・エレパイオ
【写真2】尾を高く上げる“エレパイオポーズ”(ハワイ・エレパイオ)

森の野鳥にしてはあまり人間を恐れず、むしろフレンドリーな印象さえ受ける。森を歩く人のあとを興味深そうについてくることもある。若い鳥は特に好奇心が強く、腕を伸ばせば触れるほどの距離まで近づいてくることも珍しくない。

その人懐っこさに加え、地面まで降りてくるので間近で見る機会も多いこと、そしてなんといっても顔と動きとポーズがとても魅力的であることなどが理由で、筆者を含めたハワイのバードウォッチャーの間でもっとも人気がある鳥のひとつである。尾を90度ちかくまで高くあげるエレパイオ特有のポーズは、とても可愛らしい【写真2】。

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