アキアポーラーアウ(カワリカマハシハワイミツスイ)

ʻAkiapōlāʻau (Hemignathus wilsoni)

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ハワイ島の森に生息する、希少なハワイミツスイ。生息数はとても少ない。2005年の時点での生息数は約1,500羽。現在はさらに減少していると思われる。

日本語名 カワリカマハシハワイミツスイ
ハワイ語名 ʻAkiapōlāʻau
英語名
学名 Hemignathus wilsoni
分類 アトリ科(Fringillidae)
その他 ハワイ島固有種(endemic)
絶滅危惧種(endangered)

分布

E

ハワイ島固有種。標高1,400m以上の森に生息する。マウナ・ロア(Mauna Loa)の東側山麓とマウナ・ケア(Mauna Kea)のオーヒアコアの森、カウー森林保護区(Kaʻū Forest Reserve)、コナ(Kona)などに生息する。マウナ・ケアのマーマネナイオの森では少ない。1890年代は、今よりもっと広い範囲に数多く生息していたという。

名前の由来

アキアポーラーアウ(ʻAkiapōlāʻau)という変わった名前は、大まかに訳するとハンマーヘッド(金槌頭)という意味。本種が下くちばしを使って木の幹をつつく様子から名付けられたものと思われる。

愛称は「アキ」

アキアポーラーアウでは長くて呼びにくいので、ハワイのバードウォッチャーや自然愛好家の多くは、愛情を込めて「アキ(ʻaki)」と呼ぶ。

形態

全長14cm。ハワイ・アマキヒ(全長11cm)よりも一回り大きい。オスはメスより体もくちばしもやや大きい。オスとメスは体の色が異なる。オスは上面が黄緑色、頭と下面が黄色で、眼先が黒い。メスは上面がくすんだ黄緑色、下面は灰色がかった緑色で、眼先は灰色。オスもメスもくちばしと足は黒い。細い上くちばしは、下くちばしより2倍ほど長く、下に大きく曲がっている。尾は短い。未成鳥はくちばしが小さく、体の色はメスの成鳥に似ている。

鳴き声

さえずりの音量は大きく、メロディアス。地鳴きは2種類あり、より多く聞かれるのは「チュウィー」という伸びやかに音程が上がるスラー。もうひとつは、3〜4音の「ピユゥウィー」。他に、いろいろなバリエーションのソフトなさえずりもあり、他の鳥の鳴き真似をすることもある。

生態

主にコアの幹や枝で、餌となる虫の幼虫を入念に探す。餌探しは、木の根元から始まり、幹の周りを螺旋階段を登るようにゆっくりと上がっていく。口を大きく開けて、頑丈で短い下くちばしを使ってキツツキのように木に穴を空ける【写真1】。そして、カーブした上くちばしで木の中にいる幼虫を器用に引き出す。広い森の中で本種を探すのは根気と忍耐を要するが、木をつつくときの音で居場所がわかることがある。

アキアポーラーアウ
【写真1】餌を探すアキアポーラーアウ

家族で移動することが多いが、他のハワイミツスイ類との混群も見られる。オスとメスは違う場所でそれぞれ採餌するようである。巣は椀型で、木の枝、樹皮、木生シダの繊維などから作られる。1個の卵を産む。卵は淡黄色で茶色っぽい斑点がある。

若い鳥は、1年以上もの長い期間を親鳥と過ごす。これは若い鳥が、機能が異なる上くちばしと下くちばしの使い方をマスターするまでに長い時間がかかるものと推測されている。最長で13年生きた野生のオスの記録がある。

採餌中や探餌中は、意外にそこまで警戒心は強くなく、筆者が静かに10mくらいまで近づいてもまったく知らぬ顔で、夢中で餌を探し続ける。また、筆者が木の根元に座って鳥が来るのを待っていると、じつはすぐ後ろのコアの木にずっとアキアポーラーアウがいたなんてこともある。

アマキヒ? アキ?

ユニークな形のくちばしを持つアキアポーラーアウだが、実際に森の中ではアマキヒと判別するのは容易ではない。アマキヒは、普通は花から花を移動して花蜜を吸うが、アキアポーラーアウの生息地では、アキアポーラーアウと同じように木の幹や枝で虫を探すアマキヒも多い。

森の井戸掘り役

アキアポーラーアウが探餌のためにオーヒアの幹に開けた穴には樹液がたまり、それを飲むために食虫性の鳥やアマキヒなどが何度も訪れる。

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