ロウル

Loulu (Pritchardia spp.)

ロウル(Pritchardia lowreyana) ロウル(Pritchardia martii) ロウル(Pritchardia hillebrandii) ロウル(Pritchardia glabrata) ロウル(Pritchardia napaliensis) ロウル(Pritchardia waialealeana) ロウル(Pritchardia remota) ロウル(Pritchardia hardyi) ロウル(Pritchardia minor)

ハワイのヤシ類では唯一の在来種群。19種あるうち8種は絶滅の危機に瀕している。

日本語名
ハワイ語名 loulu、loulu lelo(P. hillebrandii)、loulu hiwa(P. martii
英語名
学名 Pritchardia affinis *(ハワイ島)
Pritchardia arecina(マウイ島)
Pritchardia aylmer-robinsonii *(ニイハウ島)
Pritchardia beccariana(ハワイ島)
Pritchardia forbesiana(マウイ島)
Pritchardia glabrata(マウイ島)
Pritchardia hardyi(カウアイ島)
Pritchardia hillebrandii(モロカイ島)
Pritchardia kaalae *(オアフ島)
Pritchardia lanigera(ハワイ島)
Pritchardia lowreyana(モロカイ島)
Pritchardia martii(オアフ島)
Pritchardia minor(カウアイ島)
Pritchardia munroi *(モロカイ島)
Pritchardia napaliensis *(カウアイ島)
Pritchardia remota *(ニホア島)
Pritchardia schattaueri *(ハワイ島)
Pritchardia viscosa *(カウアイ島)
Pritchardia waialealeana(カウアイ島)

* 絶滅危惧種(endangered)
分類 ヤシ科(Arecaceae)
その他 ハワイ固有種(endemic)

Pritchardia属

ロウルが属するPritchardia属は、太平洋の島々に分布し、ハワイの19種を含めて25種からなる。ハワイ以外の6種は、フィジー、サモア、トンガ、トゥアモトゥ諸島に分布する。属名は、19世紀にフィジーの英国領事だったウィリアム・T・プリッチャード(William T. Pritchard、1829–1907)に敬意を表して名付けられたものである。

分布

E*

ハワイの19種は、その一つ一つが単一の島のみに分布する固有種である。標高1,220mまでの湿潤な森に最も多い。古生物学の調査によると、古代ハワイでは海岸から標高の高い森まで、現在よりもはるかに多くのロウルが自生していたという。

特徴

ヤシの木としては中型のものが多いが、高さ30mになる種もある。葉はうちわのような形をした掌状複葉。果実は球形または卵形で、緑色から成熟するにしたがって黄色に、さらに茶色や黒色に変わる【写真1】。

ロウル(Pritchardia napaliensis)
【写真1】Pritchardia napaliensisの果実

利用

漁の神々を鎮めるために、「ヘイアウ・ロウル」と呼ばれる季節限定の特設ヘイアウ(heiau、祭祀場)が立てられ、その象徴としてロウルが立てられてたという。

ニウ(ココヤシ)と違って、ハワイ人はロウルをあまり日常生活で利用しなかったようだ。小葉を編んでマットを作ったり、葉を雨傘や日傘として使った程度である。ちなみに「ロウル」は、ハワイ語で傘を表す言葉の一つであるが、これはロウルの葉が傘として使われていたことに由来する。ホノルルのビショップ博物館(Bishop Museum)では、ロウルから作られたと考えらえている帽子が所蔵されている。

オアフ島のハイキングトレイルのロウル

オアフ島のコオラウ山脈(Koʻolau Range)には、山脈の頂に続く尾根がいくつもあり、そのうちのいくつかはハイキングトレイルとして整備されている。ウィリウィリヌイ(Wiliwilinui)、マーナナ(Mānana)などのトレイルでは、山頂付近で自生するロウルを見ることができる。一本だけ生えている場合もあれば、数本が集まって生えている場合もある。

植物園のロウル

上記のように、オアフ島で野生のロウルを見るためには本格的なハイキングをする必要があるが、ホノルルのフォスター植物園(Foster Botanical Garden)、ワヒアヴァのワヒアヴァ植物園(Wahiawa Botanical Garden)、カネオヘのホオマルヒア植物園(Hoʻomaluhia Botanical Garden)などの植物園では、各島のロウルが集めて植えられていて、気軽に観察することができる。特にフォスター植物園は、ロウルのみならず世界の様々なヤシの木が植えられている。

その他

個体数はあまり多くなく、19種のうち約半数が希少種または絶滅危惧種に指定されている。いろいろな場所でロウルの若い木や苗木が育てられているが、実をネズミが食べてしまうため、ほとんどの種子が発芽できないという。

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