アアリイ

ʻAʻaliʻi (Dodonaea viscosa)

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ムクロジ科ハウチワノキ属の低木または小高木。各地で様々な名前があるが、英語では一般的にhopbushと呼ばれる。「ホップの低木」という意味で、hopはビールの原料として知られるホップのこと。ホップの代わりに本種の果実を使ってビールを作ることもできることから付けられた名前だという。ハワイでは、フラの女神ラカ(Laka)に捧げられた神聖な植物である。

日本語名
ハワイ語名 ʻaʻaliʻi
英語名 hopbush、Hawaiian hopseed
学名 Dodonaea viscosa
分類 ムクロジ科(Sapindaceae)ハウチワノキ属(Dodonaea)
その他 ハワイ在来種(indigenous)

分布

I

世界中の熱帯と亜熱帯地域に広く分布する。ハワイでは在来種として主要6島すべてに分布する。アメリカ本土のフロリダ州やアリゾナ州にも自生する。アメリカ本土とハワイの両方に自然分布する数少ない植物のひとつである。

ハワイでは平原、尾根、溶岩地帯、低地の牧草地、亜高山帯の潅木林などの、標高3~2,350mの地域に自生する。ハワイ島のマウナ・ロア・ロード(Mauna Loa Road)沿いや、マウイ島のハレアカラー(Haleakalā)などで一般的に見られる。乾燥した場所を好む。

特徴

高さ2~8m。個体によって雄株と雌株に分かれる雌雄異株(しゆういしゅ)というタイプの植物だが、雄株が少数の果実をつけたりすることも珍しくない。葉は互生で、長さ3~10cm、幅1~3cm。葉は両面とも、特に若い葉の場合、粘着性がある。雄花、雌花ともに小さくてあまり目立たない【写真1】。雌株は、2~4枚の羽がついたちょうちんのような形の果実(蒴果)を枝先に房状につける。果実は大きさ0.5~1.5cmで、色は淡い緑色から赤色、ピンク色、茶色など様々。荒涼な高地の乾燥した森では、アアリイのよく目立つカラフルな実が風景を彩ってくれる。

アアリイの雄花(左)と雌花(右)
【写真1】アアリイの雄花(左)と雌花(右)

利用

果実は、カパ布の赤色の染料をとるため使われた。明るい赤色の果実を集めて水と一緒にヒョウタンの容器に入れ、それに熱い石を入れ煮出して赤い汁を作った。果実はまた、長持ちするたいへん伝統的なレイに使われた。レイはアアリイの葉もしくはシダの葉と一緒に編まれて、頭に付けられた。

赤茶色の材木は非常に硬くて丈夫なため、優れた建築材としてや、槍などの武器、オーオー(ʻōʻō)と呼ばれる、穴を掘るための棒などの材料になり、ハワイ人に重宝されてきたという。

その他

ハワイの在来植物では珍しく主根(幼根がそのまま発達した根。直根)があり、風に強い。ハワイ人も当然そのことに気づいていて、アアリイにはʻaʻaliʻi kū makani(風のなかで立つアアリイ)、ʻaʻaliʻi kū ma kua(うしろに立つアアリイ)などの別名がある。昔から屈強の木として知られており、忍耐の象徴である。ハワイ島のカウー(Kaʻū)のハワイ人のあいだでは「私は風に強いアアリイだ。どんな風も私を倒すことはできない」という意味の、自己を誇るときの古い文句があるそうだ。チャントにも「困難に立ち向かう強さ」や「小さいが力持ち」などの象徴としてアアリイが登場する。

カマケレ“ブラ”カイリヴァイ (Kamakele “Bulla” Kaʻiliwai) に『レイ・アアリイ (Lei ʻAʻaliʻi)』 という曲がある。様々な時代を乗り越えてきた夫婦の愛を、雨にも風にも負けずに立ち続けるアアリイに例えるという内容の歌である。

ハワイ固有の蝶、コア・バタフライ(Udara blackburnii)の食樹のひとつである。

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