マオ(ハワイアン・コットン)

Maʻo (Gossypium tomentosum)

マオ(ハワイアン・コットン、Gossypium tomentosum) マオ(ハワイアン・コットン、Gossypium tomentosum)

ハワイアン・コットン(Hawaiian cotton)という英語名が示す通り、ワタの仲間。ハワイ固有の植物としては、熱帯アメリカが根源とされる数少ない種のひとつ。

日本語名
ハワイ語名 maʻo, huluhulu
英語名 Hawaiian cotton
学名 Gossypium tomentosum
分類 アオイ科(Malvaceae)ワタ属(Gossypium)
その他 ハワイ固有種(endemic)

分布

E

ハワイ固有種。主要6島ではオアフ島、モロカイ島、ラーナイ島、マウイ島に分布する。主にリーワード(leeward、貿易風の風下側)の標高120mまでの雨が少ない岩場や粘土質の平地などで生育する。カウアイ島にも昔は自生していたらしい。ハワイ島には分布しない。

特徴

高さ0.5~1.5m、横には直径1.5~3mくらいに広がる低木。 葉は先が3~5つに分かれたカエデ型で、横幅は3~10cm、縦幅より長い。表も裏も細い毛で覆われいるため、灰色っぽい緑色に見える。花は明るい黄色で直径約6cm。花弁は長さ2~3.5cm。同じアオイ科で黄色い花をつけるマオ・ハウ・ヘレ(ハワイ州の花)とイリマ(オアフ島の花)のちょうど中間くらいの大きさ。果実(蒴果)は卵形体で、長さ1.2~1.8cm、3つの房にわかれている。蒴果のそれぞれの房には、長さ5mmの種子が2~4粒入っている。種子は赤茶色の綿に包まれている。

ワタ属

マオが属するワタ属(Gossypium)は、39種からなり、熱帯から温帯にかけて分布する。ハワイには本種の他にカイトウメン(sea island cotton、学名:Gossypium barbadense)と、リクチメン(upland cotton、学名:Gossypium hirsutum)が外来種として定着している。

ワタ属の仲間は一般的にミツバチによって受粉するが、本種は蛾によって受粉すると考えられている。また、ほとんどのワタ属の植物の花は朝に咲いて夕方にはしぼむが、本種の花は夜も咲き続ける。

利用

昔のハワイ人は、花から黄色の染料を作り、カパ布を染める伝統的な染料として使ったという。また葉からは、緑色の染料が作られた。花と種子は、レイの材料に使われた。

農業用ワタの品種改良に貢献

木棉を作るためにマオが商業用に栽培されることはない。しかし、マオの蜜腺には糖分がほとんどないのでアブラムシなどの害虫を寄せ付けないという特性を生かして、農業用のワタを害虫に強いものへ改良するためにマオが利用されているそうである。また、農業用のワタと本種と交配させることによって、生産性、クオリティ、害虫に対する抵抗力、干ばつへの耐久力などを向上させる品種改良研究も進んでいるという。

名前の由来

ハワイ語名のマオ(maʻo)は、「緑色」という意味である。本種から作られていた染料が名前の由来であるらしい。フルフル(huluhulu)という別名もあり、こちらは「綿毛」という意味である。属名のGossypiumは、綿を意味するギリシア語のgossypionに由来する。

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