ニウ(ココヤシ)

Niu (Cocos nucifera)

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ヤシの木のなかで世界で最も有名な種である。今日ハワイに生育するさまざまなヤシ類のなかでも、本種の数が群を抜いて多い。世界の多くの人が、ハワイを含めた「南の島」といえばまず最初に頭に浮かべる、シンボル的な存在である。ハワイ準州時代(1898~1959年)は『準州の木』に指定されていた。

日本語名 ココヤシ
ハワイ語名 niu、olonani
英語名 coconut palm
学名 Cocos nucifera
分類 ヤシ科(Arecaceae)ココヤシ属(Cocos)
その他 ポリネシアン移入種(Polynesian introduction)

ハワイを訪れる観光客は、ホノルル空港を出るとすぐに、青い空にそびえ立つニウを眺め、貿易風にさらさらと揺られる葉の音を聞いて、ハワイに来たという実感と期待感が一気に増すだろう。また、筆者のようなカマアーイナ(kamaʻāina、在住者)は、旅行からハワイに帰ってくるとき、着陸する飛行機の窓からニウの木々が見えると、ホームに戻ってきたという安堵感を覚える。

そんなハワイを象徴するニウだが、実はハワイの在来植物ではない。ニウは、古代ポリネシア人が持ち込んだ、カヌープラントと呼ばれる有用植物のひとつである。

分布

P

世界中の温暖な地域に広く分布する。マレシア植物区系区が原産地とされているそうだが、詳しくは不明。ハワイでは主要な島々の標高600mより低い場所に見られ、昔から海岸沿いなどにさかんに植栽されてきた。民家の庭、街路、公共施設、ホテル、コンドミニアムなどの敷地にもたくさん植えられ、ハワイの景観をつくる重要な要素のひとつになっている。

特徴

樹高30mくらいまで生長する。直立して伸びるロイヤルパームと違い、緩やかに曲がりながら伸びることが多い。葉は長さは6m以上あり、約100枚の小葉からなる羽状複葉。樹齢10年を超えると黄色い花が咲く。花は芳香がある。果実はココナッツと呼ばれ、長さ20~30cmの楕円形。果皮の内側は繊維の層に覆われている。寿命は70年くらいだが、なかには樹齢100年以上の古木もある。

利用

使い道がとても多い植物として世界的に知られている。果実の核の内側にある胚乳や、中央腔の液体(ココナッツジュース)は味がよく、栄養価も高い。熟れた果実の胚乳を乾燥させたものはコプラ(copra)と呼ばれ、コプラからはココナッツオイルが採られる。胚乳をすりつぶしたものを煮込んで漉したものは、ココナッツミルクとよばれる。ココナッツミルクとパイナップルジュースを使ったラムベースのカクテル『ピニャ・コラーダ(Piña Colada)』は、人気がある。

ハワイ人は、本種のあらゆる部位をいろいろな用途に使った。材は家の柱として使ったり、幹を刳りぬいて小型のカヌー、太鼓、容器などを作ったりした。葉は屋根葺きの材料に使ったほか、葉で海面を叩いて驚いた魚を網に誘い入れたり、加工してかご、ほうき、鞠、うちわ、口で吹く楽器、エビを捕るための小型の罠などを作ったりした。果実の皮は燃料になった。皮の繊維を使ってカヴァなどの飲み物を濾したり、強靭な縄を作ったりした。果実の殻は天然の器であり、食器として使った。旅人は水筒のように果実を持ち歩き、内部のココナッツジュースを飲むことによって水分補給をした。ココナッツオイルは燃料、軟膏、ヘアトニックなどに使った。ココナッツミルクとピア(pia、タシロイモ)を原料にして、ハウピア(haupia)と呼ばれる伝統的なプディングが今日でも作られる。

このように高い利用価値をもつニウだが、ハワイで植えられた数は他の太平洋の島々と比べると少ないという。ハワイでは、医療や料理などにおいて、ククイから採るククイオイルのほうがココナッツオイルよりも好まれたということが理由の一つと考えられている。なお、昔のハワイでは、女性がニウの果実を食料として摂ることは、禁止されていたという。

その他

ネズミが木に登って巣を作るのを防ぐために、幹にアルミニウムの板が巻き付けられていることがある。

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