オヘ・ナウパカ

ʻOhe naupaka (Scaevola glabra)

オヘ・ナウパカ(Scaevola glabra)

ナウパカの一種。カウアイ島とオアフ島の山奥に自生する。

日本語名
ハワイ語名 ʻohe naupaka
英語名
学名 Scaevola glabra
分類 クサトベラ科(Goodeniaceae)クサトベラ属(Scaevola)
その他 ハワイ固有種(endemic)

分布

E

ハワイ固有種。カウアイ島とオアフ島のみに分布する。標高200~800mの、とても湿った森に生育する。カウアイ島では、ピヘア・トレイル(Pihea Trail)やアラカイ・スワンプ・トレイル(Alakaʻi Swamp Trail)などで見ることができる。オアフ島での分布はコオラウ山脈(Koʻolau Range)に限られる。

特徴

高さ1.5~4mの低木。葉は長さ5~15cm、幅2.5~5cmで、枝の先端部分に集中する。葉柄は1~3cm。花は筒状の明るい黄色で、筒は長さ15~32mm、細長くカーブしている。果実は濃い紫がかった黒色の卵形体で、長さ10~14mm、幅7~10mm。

クサトベラ属

本種が属するクサトベラ属(Scaevola)の植物は、ハワイに9種あり、すべてナウパカ(naupaka)と呼ばれる。そのうちの1種は海岸沿いに生育する在来種ナウパカ・カハカイ(ビーチ・ナウパカ)で、1種はマウイ島のごく限られた地域にわずかに残っている絶滅危惧種ドワーフ・ナウパカ、6種は山間に生育するナウパカ・クアヒヴィ(マウンテン・ナウパカ)と呼ばれる固有種群、そしてのこりの1種が本種。

他のナウパカとは先祖が異なる?

遺伝子や植物化学の研究によると、他のナウパカたちの先祖とは別の系統から進化した可能性があるという。オヘ・ナウパカは、他のナウパカたちよりも早い時代に、湿った森における特定の生態的地位(ニッチ)に適応して進化したと考えられている。

ナウパカ・カハカイやナウパカ・クアヒヴィの花は、どれも扇を開いたような半円形で、1種を除いてすべて白色かクリーム色だが、本種の花は細長い筒状で、黄色である点などが、他のナウパカと大きく異なる【写真1】。しかし、花の中央部の作りをよく観察すると他のナウパカのそれとそっくりで、やはりおなじ仲間であることがわかる。

ナウパカ・カハカイ(ビーチ・ナウパカ)
【写真1】ナウパカ・カハカイ(ビーチ・ナウパカ)

名前の由来

ハワイ語でオヘ(ʻohe)といえば、竹類の総称として知られるが、オヘには他にも筒や管などの意味もある。オヘ・ナウパカという名は、他のナウパカとは著しく異なった、その筒状の花の形に由来すると思われる。

花が筒状にカーブしている理由

花の細長いカーブは、イイヴィ(ベニハワイミツスイ)やアマキヒなどのハワイミツスイ類の、下に長くカーブしたくちばしに適合していると考えられる【写真2】。鳥が花の蜜を吸うことによって花粉が運ばれ、受粉するわけだ。しかし、ハワイミツスイ類は多くの種が絶滅し、カウアイ島とオアフ島に今日残っている種も多くが絶滅の危機に瀕している。ハワイミツスイ類の絶滅や減少は、ハワイの森の在来植物たちの存亡問題でもある。

カウアイ・アマキヒ
【写真2】カーブしたくちばしを持つカウアイ・アマキヒ

ナウパカについて

ナウパカの全般的な事柄や、ナウパカにまつわる伝説などは、ナウパカ・カハカイ(ビーチ・ナウパカ)のページをご覧いただきたい。

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