キアヴェ

Kiawe (Prosopis pallida)

キアヴェ(Prosopis pallida)

マメ科の高木。キアヴェ(Kiawe)というハワイ語の名前から、ハワイ在来の植物だと思われがちだが、南アメリカ原産の外来種である。

日本語名
ハワイ語名 kiawe
英語名 algaroba、mesquite
学名 Prosopis pallida
分類 マメ科(Fabaceae)
その他 外来種(alien)

分布

A

原産地はペルー、コロンビア、エクアドルなどの中南米。ハワイでは外来種として、主要6島ではモロカイ島以外の乾燥した低地に生育するほか、ミッドウェー島でも定着している。かつてコアオーヒアナイオ、ウィリウィリなどの在来植物たちが生育していた場所の多くで、在来植物は追いやられ、本種が繁茂している。ほかにプエルトリコやオーストラリアにも移入されて帰化している。

ハワイへの移入は、ペルーで採取された本種の種子が、フランスのパリ経由で1828年に持ち込まれたものが最初であるという。種子は、アレクシス・バシュロ神父によって、ホノルルのフォート・ストリート(Fort Street)のカトリック教会に植えられた。その後、1840年頃にはホノルルの各地で普通にみられる木になったという。ハワイのすべてのキアヴェは、バシュロ神父によって植えられた、このときの一本のキアヴェから増やされたものであるらしい。

特徴

樹高8~20mの高木。幹はふしくれだっていて多数の隆起がある。材は濃い赤茶色で硬く、腐敗しにくい。葉は複葉。小葉は長さ2.5~10mm、幅1.4~4mmで、それらが6~15対に並んだものが、さらに3~4対ある。花は淡い黄緑色。小さい花が7~12cmの円柱状に並ぶ。花が咲いた後には、長さ6~25cmのエンドウのような豆果ができる。豆果は黄色がかった茶色で、不規則に湾曲している。種子は茶色で細長く、長さ6.5mm。

利用:飼料

キアヴェの豆果は、家畜の優れた飼料とされ、牛、馬、ラバ、豚などに与えられていた。20世紀の初め頃は、ハワイの多くの人々がキアヴェの豆果を集めて牧場主や酪農家に売ることで収入の足しにしていたそうである。集められたキアヴェの豆果は、35ポンド(約16キロ)の袋あたり15セントで買い取られていたという。非常に硬い種子は家畜によって消化されずに排泄されてしまうので、本種があっという間にハワイ中に広がる結果になった。

利用:養蜂

花は蜜を多く含み、養蜂のための蜜源植物としても優れている。1857年にミツバチがハワイに移入されてから、ハワイでも盛んに蜂蜜が生産された。養蜂が、製糖とともにハワイの主要な産業だった時代には、年間200tのハワイ産蜂蜜が輸出されていたという。今日でも、キアヴェの花の蜜のみを集めたミツバチが作る蜂蜜は、キアヴェ・ハニーと呼ばれ、人気がある。

利用:薪木、木炭、燻煙材

キアヴェはまた、良質な薪木、木炭、燻煙材になることでも知られている。飲食店では、キアヴェの炭で焼いたり、キアヴェのスモークチップで燻した食材であることでプレミア感を強調し、品書きに例えば「キアヴェ炭で焼いたチキン」や「キアヴェチップでスモークしたパストラミ」などというふうに、わざわざ記載されていることも多い。キアヴェの名は、むしろグルメ界の方でよく知られていると言える。そのため、ハワイではキアヴェの名を冠した飲食店もいくつかある。

また、ハワイの人々が伝統的なルーアウ(lūʻau、宴)で、豚などを丸焼きするために土中に作られたイム(imu)と呼ばれるオーブンにも、やはりキアヴェの薪木を使うのが最高とされている。

キアヴェの棘

葉の根元には固くて鋭い棘がある。地面に落ちた小枝の棘を踏んで自転車のタイヤがパンクしたり、薄いサンダルの底を貫いて怪我をすることもある。普段素足で暮らすハワイの原住民達に靴を履かせるために、宣教師達によってたくさんのキアヴェが植えられたという説があるが、真偽のほどはわからない。

ハレクラニのキアヴェ

ワイキキのハレクラニには、1887年に植えられたというキアヴェの大樹があり、1世紀以上、ホテルとともに歴史を歩んできた。ところが、このホテルを象徴する樹齢129年の老樹が、2016年8月21日の日曜日に突然倒れ、大きなニュースになった。木は、周りに誰もいない午前零時過ぎに、静かに倒れていったという。けが人はなく、木の周りにある有名なフラステージも無事だった。

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