マツリカ(ピーカケ)

Arabian jasmine (Jasminum sambac)

ピーカケ(シングル) ピーカケ(シングル) ピーカケ(セミダブル、つぼみ) ピーカケ(セミダブル) ローズ・ピーカケ ローズ・ピーカケ

ジャスミンの一種。フィリピン共和国とインドネシア共和国の国花である。ハワイではピーカケ(pīkake)と呼ばれ、レイの花として人気が高い。

日本語名 マツリカ(茉莉花)
ハワイ語名 pīkake
英語名 Arabian jasmine
学名 Jasminum sambac
分類 モクセイ科(Oleaceae)ソケイ属(Jasminum)
その他 外来種(alien)

分布

A

原産地は南アジアと東南アジア。ハワイではレイの材料として栽培されている。民家の庭にも多く植えられている。

特徴

樹高1〜3mの常緑低木。花はクリーム色で直径約2.5cm。花は香りがよい。

利用

花は香水や茶(ジャスミンティー)に使われる。つぼみを繋げて作られるピーカケ・レイは、香り高いエレガントなレイ。フラのダンサーや、結婚式で新婦がつけるレイとして特別な人気がある。

花の種類

花は、一重咲き(single)、二重咲き(semi-double)、八重咲き(doubleまたはrose)の3つタイプに大きく分けられる【写真1】。しかし、本によっては「single」と「double」の2種類とされていたり、また別の本では「single」、「double」、「rose」の3種類とされていたり、またあるいは、「複数螺旋タイプ(multi-whorled)」を加えて4種類とされていたりもする。このように、著者によって分けかたが様々であるのをみると、花のタイプの名称や定義は曖昧であるようだ。

一般的にピーカケといってハワイの多くの人が想像するのは、一重咲きの花である。レイに使われるのも一重咲きのものが多い。二重咲きは、細長い花弁の二つの花が重なったような姿をしている。八重咲きは、多くの先端が丸い花弁からなる。花の姿がバラに似ているため、ローズ・ピーカケ(rose pīkake)と呼ばれることもある。

ハワイ語では一重咲きを「ピーカケ・ラヒラヒ(pīkake lahilahi)」、八重咲きを「ピーカケ・プププ(pīkake pupupu)」という。lahiには「薄い」とか「繊細な」という意味がある。pupupuは「多数の」や「混み合っている」などの意味がある。

ハワイ・アマキヒ(Chlorodrepanis virens virens)
【写真1】左から一重咲き(シングル)、二重咲き(セミダブル)、八重咲き(ダブルまたはローズ)

カイウラニ王女が愛した花

カイウラニ王女(Victoria Kaʻiulani、1875–1899)がこよなく愛した花として有名。カイウラニ王女は、ワイキキのアーイナハウ(ʻĀinahau)という地所(その入口付近が現在のシェラトン・プリンセス・カイウラニ)に12歳のときから暮らしていた。アーイナハウでは、たくさんのインドクジャクが放し飼いにされていて、王女に可愛がられていた。クジャクは、ハワイでは英語のピーコック(peacock)をハワイ語の発音にして「ピーカケ(pīkake)」とも呼ばれる【写真2】。王女がクジャクと同じくらいマツリカの花が好きだったことにちなんで、マツリカのこともピーカケと呼ばれるようになったのだそうだ。

インドクジャク
【写真2】インドクジャク(ピーカケ)

シェラトン・プリンセス・カイウラニ近くのクヒオ通り沿いに、カイウラニ王女の銅像が建っている。銅像のカイウラニ王女は、ピーカケのレイを首からかけている。さらに足元には、インドクジャクがいる。

シェラトン・プリンセス・カイウラニの一階のプールサイドに、「ピカケ・テラス(Pikake Terrace)」という屋外レストランがある。このピカケは、もちろんクジャクかピーカケの花か、それとも両方のことを指しているのだろう。筆者は、この記事を書くにあたって、ピカケ・テラスに実際ピーカケが植えられていたら素敵だと思って探しに行ってみたが、残念ながら植えられていなかった。ただ、カイウラニ王女の銅像の手前にある花壇には、いくつかの植物と一緒に一株のピーカケが植えられていた。

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