イリマ

ʻIlima (Sida fallax)

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古来からもっとも高貴なレイフラワーのひとつとして、ハワイ人が食用目的以外で栽培した数少ない植物。フラの女神ラカ(Laka)が化身できる姿のひとつだとされている。500円玉くらいの可愛らしい黄色い花は、5枚の花びらと、中心から伸びる短いしべがあり、プチハイビスカスといった感じである。

日本語名
ハワイ語名 ʻilima
英語名
学名 Sida fallax
分類 アオイ科(Malvaceae)キンゴジカ属(Sida)
その他 ハワイ在来種(indigenous)
オアフ島花

分布

I

主要6島すべてで生育する在来種。標高1,980m以下の様々な場所でみられる。特にリーワード(leeward、貿易風の風下側)に多い。ハワイの他にも太平洋の島々から中国まで広く分布する。

特徴

常緑の小低木。通常は1mくらいに生長するが、環境によって樹高、葉の大きさや形、花の大きさや色が大きく異なる。栄養が少ない溶岩地帯や砂地などでは、背が低く、葉だけが茂っているという具合だが、湿潤な渓谷などでは、葉は通常の数倍の大きさに、樹高は2m以上になる場合もある。

このように、自然環境によって形態が異なる様々なタイプの野生のイリマは、イリマ・クー・クラ (ʻilima kū kula)と呼ばれる。これらのイリマは、建材としてたまに使われることがあるそうだが、花はほとんど使われない。

花は直径約2.5cm、花弁は5枚。花の色は黄色がもっとも一般的だが、オレンジ色や赤色のものもある。花弁の片方のみが長いために花全体でみるとデコボコして見える。もし花全体がデコボコしていない場合は、イリマによく似たイチビの一種(Abutilon grandifolium)である可能性が高い。花は一年中つける。葉は互生で、長さ1〜12cm、ハート形。葉の表面は明るい緑色、裏面は細い毛が生えている。葉の縁にはノコギリの歯のようなギザギザがある。

イリマ・パパ

浜辺や乾燥した道端などで、高さ15〜30cmくらいに低く這うように生育するタイプのイリマもあり、イリマ・パパ(ʻIlima papa)と呼ばれる。パパは、「平らな」という意味のハワイ語。つまり、絨毯を敷いたように平べったいイリマという意味である。普通のイリマと比べると、花の色が若干淡い。

ロイヤル・レイ

イリマの小さな花で「ロイヤル・レイ」と呼ばれるイリマのレイを作るには、500とも700ともという膨大な数のイリマと、作り手の忍耐と時間を要する。そうして出来上がった真心こもったロイヤル・レイは、幸運の象徴とされ、旅に出る人の首にかけられたりする。筆者が知人の葬儀に出席したときにも、見事なイリマのレイが飾ってあった。これらの、レイ用に栽培されるイリマの花は、 不規則な花びらのものが多い野生のものに比べてより綺麗で、色は若干オレンジ色がかっている。

オアフ島の花

イリマは、1923年にコキオ・ウラ(赤いハイビスカス)にその座を奪われるまで、ハワイの国花だった。現在では、『オアフ島の花』として、人々に広く愛されている。アットホームでアロハなもてなしをモットーとするイリマ・ホテル(ʻIlima Hotel、ワイキキ)や、毎年オアフ島のトップレストランに贈られるイリマアワード(ʻIlima Awards)などは、イリマがハワイの人々にいかに親しまれているのかを物語っている。以前は、イリマの学名Sida fallaxからとったシダ・タクシーというタクシー会社もあった。

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