オーヘロ

ʻŌhelo (Vaccinium spp.)

オーヘロ・カウ・ラーアウ(オヘロ、V. calycinum) オーヘロ・アイ(オヘロ、V. reticulatum) オーヘロ・アイ(オヘロ、V. reticulatum) オーヘロ・アイ(オヘロ、V. reticulatum)

ブルーベリーやクランベリーの仲間。オーヘロと呼ばれるものは3種ある。果実はネーネー(ハワイガン)の好物として知られる。

日本語名
ハワイ語名 ʻōhelo、ʻōhelo kau lāʻau(V. calycinum)、ʻōhelo ʻai(V. reticulatum
英語名
学名 Vaccinium calycinum
Vaccinium dentatum
Vaccinium reticulatum
分類 ツツジ科(Ericaceae)スノキ属(Vaccinium)
その他 ハワイ固有種(endemic)

分布

E

3種ともハワイ固有種。V. calycinumV. dentatumは、すべての主要な島々でみられる。後者は特にオアフ島に多い。V. reticulatumは、マウイ島とハワイ島に多い。カウアイ島、オアフ島、モロカイ島では少なく、ラーナイ島ではみられない。

特徴

Vaccinium calycinum(オーヘロ・カウ・ラーアウ)

Vaccinium calycinum
【写真1】Vaccinium calycinum

樹高1~5m。オーヘロの中では最も大きい。葉は卵形もしくは倒卵形で、長さ5〜8cm、幅2〜4cm。果実は明るい赤色で直径9〜15mm。オーヘロ・カウ・ラーアウ(ʻōhelo kau lāʻau)とも呼ばれる。直訳すると「木に置かれたオーヘロ」という意味。標高500〜1,800mの湿った森や湿原に生育する。花の時期は10月末〜7月中頃。果実は12月末〜8月までつける。10月〜2月にかけての1〜3週間、葉をつけない場合もある。【写真1】

Vaccinium dentatum

Vaccinium dentatum
【写真2】Vaccinium dentatum | Photo by Forest & Kim Starr

樹高0.3~3m。葉は楕円形もしくは狭楕円形で、長さ4〜9cm、幅1〜3cm。果実は明るい赤色もしくは深紅色で、直径8〜10mm。標高700〜1,200mの湿った場所に生育する。ピヘア・トレイル(Pihea Trail、カウアイ島)の、沼地に近い場所などでみられる。花も実も年中つける。【写真2】

Vaccinium reticulatum(オーヘロ・アイ)

Vaccinium reticulatum
【写真3】Vaccinium reticulatum

樹高0.1~2m。葉は卵形もしくは倒卵形で、長さ、幅ともに1〜3cm。果実は赤色、赤紫色、青紫色、黒色、黄色、オレンジ色、黄緑色、ピンク色などで、直径8〜14mm。果実が、黒い溶岩に対して明るく映える。オーヘロ・アイ(ʻōhelo ʻai)とも呼ばれる。直訳すると「食べ物のオーヘロ」という意味。標高640〜3,700mに広く生育する。ハワイ火山国立公園(Hawaiʻi Volcanoes National Park)のキーラウエア・イキ・クレーター(Kīlauea Iki Crater)などで見られる。溶岩の黒い地面と、鮮やかなオーヘロの赤い果実とのコントラストが印象的である。花も実も年中つけるが、花は4〜9月、実は6〜9月が最も多い。【写真3】

利用

果実は美味で(V. calycinumを除く)、生で食べられる。果実を加工してジャムやシロップが作られるほか、以前はパイやタルトなどの菓子も作られたという。また、乾燥した葉はレイに使われる。葉からは茶も作られる。

カオーヘロの伝説

ハワイの伝説では、オーヘロは、カオーヘロ(Kaʻōhelo)の生まれ変わりとされている。カオーヘロは、火山の女神ペレ4姉妹のひとりである。カオーヘロが亡くなったとき、彼女はハワイ島のキーラウエア(Kīlauea)に埋められた。やがて彼女の体が、オーヘロの茂みになった。さらにカオーヘロは、マウイ島、オアフ島、カウアイ島にも移されて、それぞれの島のオーヘロになったと云われている。

火山の女神ペレとオーヘロ

ハレマウマウ・クレーター
【写真4】ペレの現在の住処とされるハレマウマウ・クレーター(ハワイ島)

オーヘロは、ポリネシア人がハワイで見つけた植物の中では、数少ない果物だった。ハワイ島では、火山の女神ペレに捧げられる神聖な果実であった。人々がキーラウエア火山でオーヘロの実の食べる場合、まず最初にペレが住んでいるとされるハレマウマウ・クレーター(Halemaʻumaʻu Crater)にオーヘロの実がなった枝を投げ入れて、 ペレにオーヘロと祈りを捧げてから食べていたという。

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