パパイア(チチウリ)

Papaya (Carica papaya)

パパイア(Carica papaya)

家庭で栽培できる果実としてはマンゴーとともにハワイでたいへん人気があり、都市部でも多くの民家の庭に植えられている。

日本語名 パパイア、パパヤ、チチウリ(乳瓜)、モクカ(木瓜)
ハワイ語名 mīkana、hēʻī、milikana、papaia
英語名 papaya
学名 Carica papaya
分類 パパイア科(Caricaceae)パパイア属(Carica)
その他 外来種(alien)

分布

A

原産地は新熱帯区。果実が食用になり、熱帯地域で広く栽培されている。ハワイには19世紀初頭にマルキーズ諸島から移入された。現在では広く栽培され、少なくともカウアイ島、モロカイ島、ハワイ島では完全に野生化している。雨が多い湿った場所を好む。

特徴

大きなものは9mに達する多年草。通常は枝の無い太い茎の先に放射状に葉をつけ、傘をさしているような姿をしている。成長は早く、一年も経たずに実をつけ始める。寿命は通常10年に満たない。木の幹のようにみえる茎は空洞で、風に弱い。

葉は長さ15〜60cm、幅も同じくらいで、5〜9個の深い切れ込みがある分裂葉。葉柄は通常30〜100cm。花はクリーム色。果実は黄色、オレンジ色、または赤色で、熟れると緑色の縞がはいる。若い果実は緑色。果実の大きさや形は様々で、大きなものは長さ50cm、重さ10kgになる。果肉は黄色またはオレンジ色。果実の中央には、黒くて固い大きさ5mmくらいの種子がたくさん入っている。

雄株・雌株・両性株

1947年に登場した、現在の主流な変種であるソロ種(Solo)を含め、ほとんどのパパイアは一株に雄花と雌花の両方をつける雌雄同株だが、一部の古い変種は株によって雄株と雌株が別れている。つまり、両性株、雄株、雌株の3種類がある。実をつけるのは雌株と両性株。

両性株ではないパパイアを植える場合は、実をつける以前の生長段階では雌雄の判別は不可能で、果実が目的でパパイアを庭に植える家庭では一種の賭けとなり、数ヶ月育てた結果、それは雄株で果実をつけない……なんてことに当然なりうる。

ハワイ語名

パパイアは、ハワイが西洋文明と接触して以降、もっとも早く移入された植物のひとつで、1871年にはすでに野生化していたという記録がある。そのためか、ミーカナ(mīkana)、milikana(ミリカナ)、ヘーイー(hēʻī)など、本種を指すハワイ語名がいくつかある。特にヘーイーは古い言葉であるらしく、もしかしたらジェームス・クック(Captain James Cook、1728–1779)がハワイに到達する以前から、ハワイにはすでにパパイアが存在していたのではないかという説もある。

雄株はミーカナ・カーネ(mīkana kāne)、雌株はミーカナ・ワヒネ(mīkana wahine)と呼ばれる。両性株のパパイアを指すハワイ語は無いようである。

パパイア属(Carica)

パパイア属は約50種からなり、新熱帯区に分布する。属名Caricaは、イチジクの一種のギリシア語名であるkarikeが語源。パパイアの葉がイチジクの葉に似ていることに由来する。

名前の由来

日本語名のチチウリ(乳瓜)は、パパイアの葉、茎、若い果実などが含む白い液体に由来する。モクカ(木瓜)は、「木になるウリ」と言う意味であろう。

パパイン

上記の乳液は、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を含む。この酵素は、パパイアから発見されたため、パパイン(papain)と命名された。この酵素の作用よって肉を柔らかくするために、煮物などにパパイアの葉や果実が使われる。

利用

パパイア(Carica papaya)
【写真1】スーパーマーケットで売られるハワイ産パパイア(ホノルル市内にて)

ハワイの農作物のひとつで、産業規模は大きい【写真1】。果実は生食される。味はカンタロープメロンに似る。果汁を多く含み、甘い。果実はまた、煮物などの料理にも使われる。葉も食べられる。

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