ククイ

Kukui (Aleurites moluccana)

ククイ(Aleurites moluccana) ククイ(Aleurites moluccana)

1959年5月1日より、ハワイ州の『州の木』に指定されている木。啓蒙、防御、平和の象徴とされている。ククイが属するトウダイグサ科は、熱帯地域ではよく見られる植物で、世界で約300属7,500種もある大きな科である。

日本語名 ククイノキ
ハワイ語名 kukui
英語名
学名 Aleurites moluccana
分類 トウダイグサ科(Euphorbiaceae)ククイノキ属(Aleurites)
その他 ポリネシアン移入種(Polynesian introduction)
ハワイ州木
モロカイ島花

分布

P

『ハワイ州の木』であることもあって、ハワイ原産の木だと思われがちだが、原産地はマレーシアと西ポリネシアである。古代、太平洋を航海する海の民たちに大切にされていた植物で、その有用性をよく知っていたポリネシア人によって、1600年ほど昔にハワイに持ち込まれた。ククイの移入には、実用的な理由のほかに、この木がカマプアア(Kama-puaʻa、豚の神)の姿とされ、神聖視されていたこととも関係があるらしい。

現在では、栽培地から次第に野生化したものや、意図的に植えられたものも含めて、すべての主要な島々の、特にウィンドワード(windward、貿易風の風上側)に多く自生する。街路や公園に植えられることもあり、今日ではアラモアナ・センター内にも植えられている。

特徴

ククイの花
【写真1】ククイの花

樹高約10m。銀色がかった明るい黄緑の葉は、森のなかでは遠くからでもよく目立つ。5枚の薄い緑色がかった白い花弁からなる小さな花をたくさんつける【写真1】。

ククイナッツ

木の実はククイナッツと呼ばれる。ククイナッツの種子は、油分—ククイオイル—をたくさん含んでいる。種子は磨くと黒い光沢を出し、それを繋げると美しいレイになる。ククイナッツのレイの歴史は古く、ジェームス・クック(Captain James Cook、1728–1779)がハワイに初めて上陸した1778年には、すでにハワイの原住民たちがククイナッツのレイをつけていたという。また、花と葉もレイの材料に使われる。

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レイの歴史

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利用

ククイには、灯火や光という意味がある。英語ではキャンドルナットツリー(ロウソクの実の木)と呼ばれる。それらの名前の通り、ハワイ人は、ローストしたククイナッツに火をつけて、灯火として使っていた。また、種を割って抽出したオイルを、石でつくられたランプの燃料として使ったりもしたという。

ククイの使い道はまだまだある。樹液は、カパ布の防水加工液や、発疹などの治療用軟膏として使われた。タンニンを多く含んだ樹皮は、皮革や漁網の“なめし”に使われた。また、木の根はカヌーの塗料の材料になった。

ククイオイルは肌によいとされ、今日コスメティック用品として売られている。また、ローストした種を海藻と塩で交ぜたものは、イナモナ(ʻinamona)と呼ばれ、ポケの薬味などに使われる。商店のポケ売り場で、例えば「Ahi Inamona」と書いてあれば、それはイナモナが入ったマグロ(アヒ)のポケということになり、通が好むクラシックな一品である。

その他

ククイの花は、『モロカイ島の花』に指定されている。古いチャントにもあるそうだが、川でククイの花が流れてきたら、思わしくない天気が山からこちらへ向かっているサインであるといわれている。

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