コー(サトウキビ)

(Saccharum officinarum)

サトウキビ(Saccharum officinarum) サトウキビ(Saccharum officinarum) サトウキビ(Saccharum officinarum)

砂糖の原料となるため、世界で最も価値のある植物のひとつだとされる。世界で生産される砂糖の約半分はサトウキビから作られている。

日本語名 サトウキビ(砂糖黍)
ハワイ語名
英語名 sugar cane
学名 Saccharum officinarum
分類 イネ科(Poaceae)ワセオバナ属(Saccharum)
その他 ポリネシアン移入種(Polynesian introduction)

分布

P

原産地は東南アジアだと考えられている。ハワイのサトウキビは、古代ポリネシア人によって有用植物として持ち込まれたのが起源である。ハワイ人は、少なくとも40の変種に名前をつけて栽培していたという。

ワセオバナ属(Saccharum)

サトウキビが属するワセオバナ属(Saccharum)は約30種からなり、熱帯に広く分布する。Saccharumという属名は、サトウキビの甘い汁を指すギリシア語のsakcharonが語源。

特徴

高さ2~6mになる大きな多年草。茎は直径2~5cmで、竹のように節があり、硬い。茎は糖分が豊富な汁を多く含む。茎の外皮は黄色、黄色とピンク色の縞模様、赤色、濃い紫色、緑色に白色の縞模様など、種類によって様々みられる。葉は緑色で、中央脈がある。

茎の先に穂状の花をつける。花の時期は11~12月。花序は長さ30〜60cmで、季節がら「ハワイアンクリスマスツリー(Hawaiian Christmas tree)」と呼ばれることもある【写真1】。

花をつけたサトウキビ
【写真1】花をつけたサトウキビ | Photo by Forest & Kim Starr

利用

古代ハワイでは砂糖、繊維、屋根葺きの材料として利用されていた。茎から抽出した甘い汁を火で温めて赤子に与えたり、食べ物や薬に甘みをつけたりした。長旅のときにはコー(サトウキビ)の茎を携帯して、飢えをしのいだという。ハワイ人はコーの甘味を好み、子供は食間にコーの茎を噛んだ。またコーの茎を噛むことで、歯が強くなると信じられていた。

サトウキビ産業の隆盛と衰退

マウイ島プウネーネーの製糖工場
【写真2】2016年に閉業した、ハワイ最後の製糖工場。操業時代には煙突から白い煙がもくもくとあがっていた(2018年5月撮影)

1835年、カウアイ島のコーロア(Kōloa)に、ハワイ最初の製糖会社が作られた。それからサトウキビ産業は徐々に成長してゆき、19世紀の終わり頃にはハワイで最も大きな産業になった。この時代の砂糖は、ハワイを支配していたという意味で「King」と称されたりする。

サトウキビのプランテーションで働くために、日本、中国、韓国、フィリピン、プエルトリコなど各地から多数の労働者が集まった。英語が母国語ではない労働者たちによって「ピジン英語」が作り出され、共通の言語になった。サイミン(saimin)というユニークな麺料理が生まれたりもした。このプランテーション時代が、現在のハワイの独特な多民族文化の素になっていった。

しかしそんな“王様”サトウキビ産業も、地価と人件費の高騰と、他の原料から作られる安い砂糖が出回るようになったことなどにより、20世紀の終わり頃にはすっかり衰退してしまった。2016年には、マウイ島プウネーネー(Puʻunēnē)のハワイ最後の製糖工場が閉業し、ハワイのサトウキビ王国時代は幕を閉じた【写真2】。

アレクサンダー&ボールドウィン砂糖博物館

マウイ島プウネーネーの製糖工場
【写真3】アレクサンダー&ボールドウィン砂糖博物館

プウネーネーの工場の道路を挟んだ向かい側には、アレクサンダー&ボールドウィン砂糖博物館(Alexander & Baldwin Sugar Museum)という小さな博物館がある。博物館では写真、ビデオ、農機具、プランテーションで働いていた人々の衣類や生活道具、製糖工場の機械類、などが多数展示されていて、ハワイのサトウキビ産業の歴史、製糖のプロセス、プランテーションでの生活の様子などを詳しく見学できる【写真3】。

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